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航はしばらく律香を優しく撫で続ける。
色々な感情で混乱するも、慣れない体験をした疲れから徐々に睡魔に襲われていく。
航は律香を休ませようとして額に口付けを落とし「ゆっくり休んでね」と、ベッドから抜け出す。
意外にもあっさりして航の行動に、少しだけ驚いたけれど眠気が強くそれを見ているだけの律香。
航はというと、帰るねと言って、部屋を出て行く。
玄関のドアが閉まると、鍵がポストにカシャンと落ちた音がした。
鍵は靴箱の上に置いていたので、気を利かせたのだろう。
一人になりどこかホッとしたところで、律香の意識はなくなった。
航とのはじまりは少しも予期せぬもので、意志がないままだった。
翌日目が覚めた時、体の奥の違和感と鈍い痛みに動揺したのを覚えている。
現実なのか夢なのか、しばらくぼんやりと考えてしまったけれど、昨夜連絡先を交換したばかりの彼から“昨日はありがとう。また連絡する”とメッセージをもらい、それが現実だと教えていた。
これまでの律香からしたら、らしからぬ軽いはじまり。
職場が同じな上、相手は律香とまるでタイプの違うキラキラした性質の航。
本当によかったのだろうか……と、不安で胸が片付かない。
しかし、律香はこの先航にどんどん惹かれていくことになるのだ。
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