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走り出した恋
航との初めてのデート当日。
時間ぴったりに律香のマンションの下に来た彼は、真っ白なスポーツカーで彼女を迎えた。
航はブランドのサーモンピンクのシャツにベージュのチノパンをオシャレに合わせていて、似合い過ぎて眩しく感じるほど。
律香はというと、ノーブランドの紺色のワンピースを着ていたので、もっと気を遣えばよかったと恥ずかしく思った。
そんな心情を察してなのか、「清楚で可愛い格好だね」と褒めてくれた航。
彼が優しく微笑んくれなければ、心は憂鬱な気持ちで終始覆われていたに違いない。
男に褒められ慣れていない律香の心は、また一つ航に惹かれてしまうのだけれど。
二人の予定はショッピングデート。
車で郊外のショッピングモールへ行く。
行き先を決めたのは航。
彼から「ショッピングに行こうか」と提案された時、高級な店だったらどうしようかと不安の方が大きくてドキドキしていたけれど、連れていかれた場所は郊外のショッピングモールだったので、密かに安心してしまった。
デートが初めての上、高級店だと緊張は倍だろうから。
ショッピングモールに着き車を降りると、当たり前のように手を繋いでくる。
それをおずおずと握り返すと、航は嬉しそうに微笑んでくるので、律香の胸は自然と弾む。
ぶらぶらとしてなんとなく入った雑貨屋で、律香が花柄のカップを手にして眺めてていると、航に横から奪われた。
驚いて彼を見ると、「律香らしくていいね。これ、俺の家に律香用として置いてもいい?」と、カゴに入れられる。
“律香用”と言われ、心がときめきを感じる。
航は女心を扱うプロだと思う。
優しくされることで胸が喜びで張り詰めて、心にじわじわと情熱が集まっていくのを感じる。
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