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どうなることかと不安ばかりだったデートだが、予想を上回る楽しさだ。
航のエスコートが上手すぎて、気持ちが体を繋げた日より確実に傾いていくのがわかる。
改めて自分はこんなに簡単な女だったのだろうかと思いつつも、航への気持ちが増していくことを止められない。
これまで一瞬で恋に落ちるなんて嘘だと思っていたけれど、あながち本当かもしれない。
現に律香は航を想うのに時間はかからなかった。
ショッピングモール内を一通り回り、カフェでランチを食べている時、「律香、今夜俺の家に泊まりに来る?」と尋ねられた。
俺の家という単語にドキドキしたのはつい先ほどのことで、その機会がまさかこれほどすぐにやってくるとは思わず目を瞬く。
航の家に招かれるということは、プライベートまで踏み込まれえてもよい存在だと思われているということで、遊びの女ではないのだと結び付ける。
律香の心は喜びで波立つ。
「嫌?」
少しの間考え過ぎて沈黙でいたせいだ。
航は悲しげな表情を作り、首を傾げる。
「いえ、ぜひお邪魔させていただきたいです。ですがいいのでしょうか?」
律香は航を窺うように上目遣いに見つめた。
「もちろん、いいに決まってる」
即答する航の表情は少しも曇りがなく、律香を騙しているようには見えなかったし、心から嬉しそうに見えた。
さらに律香が喜んだのは言うまでもない。
それから二人は調理器具がないという航の家に行くために、鍋や包丁やまな板などを一通り揃え、食材売り場で夕食のための食材を買った。
また、航の家に行く途中、律香の部屋に宿泊するための荷物を取るために寄り、彼のマンションへ行った。
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