始まりと終わりと

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 航は医師という職業の上、長身で顔立ちも整っているため大変モテる男だ。 彼が華やかな看護師たちや事務員たちと談笑しているのはよく見る光景である。 そのため航からの誘いにはかなりの驚きを感じて、律香のような地味な女に対しからかっているのだろうかと不信感を持った。  それでもまだ働きはじめて間もない律香が断れるわけもなく、彼の誘いに乗った。 航に連れていかれたところはビルの三十八階に入っている夜景の美しいレストラン。 それだけでのぼせてしまうような雰囲気である。  律香は緊張して、はじめは水ばかり飲んでいた。 さらにすべて航に任せて料理を頼んだので、料理を注文してしまうと話題も思い付かない。 レストランに着くまでは、航が「仕事は慣れた?」と話題を振ってくれたことから、なんとか仕事の話で間が保てていたけれど、今はそうもいかない。 「皆月さん緊張してる?」  ズバリ当たられたじろぐ律香。 「えっと……してます」  咄嗟に嘘が吐けなくて、正直に伝えた。 航はクスッと笑い「可愛いね」と言うので、律香の顔はカッと熱くなり、茹でダコのように赤く染まった。
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