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それは簡単に航に見破られてしまう。
「照れてる?」
「そうですね、慣れてないのでお世辞だとわかっていても恥ずかしいです」
航のようなハイスペックな男性に褒められ、冷静でいられる者はなかなかいないだろうが、男性に慣れてない律香は特に照れてしまう。
「お世辞じゃないんだけどな。皆月さんって本当に可愛いね」
きっと女性の扱いが上手いのだろう。
誰に対しても似たようなことを言っているはず。
そう思うのに、律香の頬はごまかしきれないくらい赤くなる。
航に想いを伝えられたのはこの夜だった。
食事を終えレストランを出た後、航は律香を家まで送ると言う。
はじめは遠慮したものの、心配だからとあまりに言うので、律香の家へタクシーで向かった。
この夜、律香は酔っていた。
足もとがふらついてしまうほどに。
普段はそれほど飲まないというのに、緊張から多めにお酒を飲んでしまったのだ。
一人暮らしのマンションに着くと、航は律香を心配して部屋まで連れていった。
航は部屋にあがると律香をソファへと座らせて、マンションの下の自販機で購入したペットボトルのお茶を飲ませようと口元に近付けた。
されるかままにお茶を口に入れるが、口内に入ってくるお茶のスピードに追いつけず口の端からこぼしてしまう。
しまったと思った次の瞬間、航はそれを舌で舐めとった。
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