始まりと終わりと

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 航の息づかいと生温かさを感じた律香は、衝撃から固まった。 ふわふわとしていた意識が一瞬ではっきりとする。 律香は目を大きく見開き、航を見つめた。 「驚かせちゃったね」  航は色っぽい笑みを浮かべたかと思うと、律香の唇を親指でゆっくりとなぞった。 体の芯がカッと熱くなる。 驚きすぎて言葉が出ない。 「突然ごめんね、驚いたよね」  なんとか首を縦に振ると、彼はクスッと笑う。 「皆月さんが可愛すぎて我慢できなかった。俺さ、皆月さんが好きなんだ」  夢でも見ているのだろうか。 まさか彼に告白されるなんて――。 想像もしていなかった状況に戸惑う。   「俺と付き合ってもらえないかな?」 「つ、付き合うって……」 「交際してほしいってことだよ」  航はというと「嫌?」と首を小さく横に傾げた。 その姿は魅惑的で、目を逸らせない。 律香の胸の鼓動は、はちきれそうなほどうるさく音を立てている。 きっと航にも聞こえているに違いないけれど、構っていられない。 航は緩やかな笑みを浮かべ、律香の答えを待つ。
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