始まりと終わりと

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 それでも律香はしばらく無言のままでいた。 すると航は辛抱しきれなくなったのか「俺のこと少しも男として見れないかな?」と尋ねた。 「……いえ、そんなことはないです」  それは嘘ではない。 航からの告白にはかなり戸惑っているけれど、律香にとって今夜の彼との時間は、心が躍りときめきを感じ夢のようだった。 正直にいうと男として彼を意識した。 「じゃあ期待してもいいのかな?」  律香の様子から航は自信を得たように表情を和らげた。 困ってしまい目を伏せて、再び無言になってしまう律香。 すると航は次の瞬間、律香の手を取りお互いの指と指を絡ませてきた。 体が戸惑いからビクッと震える。 「な、何を……?」  目を瞬き彼をハッと見つめた。 「こっち見て欲しかったから。こうしたら俺を見てくれるでしょう?」  航の表情がくらくらするほど色っぽく映り、頬がカァッと熱を持つ。 男慣れしていない律香は易々と踏み込まれてしまう。 なんて単純なのだろうか。 「あの、本当に私が……」 「ん?」 「……好きなんですか?」  自分から口にすることさえ恥ずかしい。 声が震えている。 「大好きだよ」  航の目は真っ直ぐな律香を見つめていて、心が捕らえられる。 もう抗えそうになかった。
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