Garbage

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Garbage

 彼が私のことを本気で愛していないことくらい、ずっと前から知ってた。ただ、それを認めてしまうのが悔しくて、ずっと気づいていないふりをしてただけ。彼にとって、私との三年間は一体何だったのだろう。暇つぶし? それとも、タダのソープ嬢? あるいは、ATM? いずれにしても、ロクなもんじゃない。  もっと早く彼から離れることはいくらでもできたはず。だけど、彼がときどき見せる優しさと、『百年経ってもお前を愛してる』という言葉に惑わされて、結局ズルズルやってきた。それで、新しい女ができたらポイッとゴミのように捨てられてしまう。私って一体何なんだろう?  彼と二人で過ごした時間を思い出すと、嫌でも涙が溢れそうになる。初めてのデートで行った水族館。いつも一緒に行ってた喫茶店。彼の希望で行った北海道旅行。どれもこれも、つい昨日のように思える。だけど、もう、彼は私の隣にはいない。  私は彼から貰ったシルバーの指輪を外した。赤い小さなガーネットがついた指輪で、初めての誕生日プレゼントに貰ったものだ。結婚指輪のように、ずっと肌身はなさず付けてきた。だけど、もう私には必要ない。  私は外したばかりの指輪を思い切り壁に投げつけた。柔らかい銀の指輪は、歪んで楕円形になる。
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