三章

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「おれもとうさまみたいにおおきくなれる?」 「食べ物の好き嫌いをしなかったらなれるかもな」 喋っている間に電子レンジが音を立てたので、澄生の前にチキンライスを置いてやる。 「まだ熱いから少し待っていろ」 俺は自分の食べる分が温まるまで澄生を待たせてから、息子の正面に腰を下ろした。 「いただきます」 両手をきちんと合わせたのち、澄生は若干もたついた手つきでスプーンを口に運ぶ。息子用の訓練用箸もあるにはあるのだが、この様子ではまだ難しいかもしれない。 「とうさま、たべないの?」 「ん? あ、あぁ」 息子を眺めるばかりで自分が食べていなかったことに気付く。息子が食べやすいように配慮したのか、いつもより薄い味付けだ。
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