四章

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四章

「ただいま帰りましたー」 夕方六時になって、妻は両手一杯の買物袋とともに帰ってきた。 「早かったじゃないか」 俺は妻の買物袋を受け取りながら言う。 「綺羅さんはお子さんがもっと小さいし」 そういえば、彼女が産休から復帰してまだ数ヶ月くらいか。彼女の旦那がウサギの耳がついたベビー服を着た娘の写真を見せてくれたのはついこないだだ。 「おかあさんおかえりなさい」 息子も妻の買物袋を引っ張る。よりによってペットボトルやらが入った重い袋を持とうとするので、妻は微笑みながら「こっちの袋を持ってくれる?」と服屋のものらしき紙袋を渡してやっていた。 「いい子にしてた?」 「手はかからなかった」
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