プロローグ

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葬儀が終わり遊章は荼毘に付された。その際に将人は遊章の両親から骨上げに参加することを促された。何で他の友達を差し置いて俺が? と、疑問を呈したが参加することにした。おそらくは幼馴染で付き合いが長い友達が将人だけだったことを知っていた遊章の両親が気を遣ってくれたのだろう。 真白い骨となった遊章は小さい骨壷の中に入れられていく。 「ほら、ここ喉仏」 本当に喉仏って仏様が座ってるような形してるのか。将人は遊章の喉仏を箸で受け取りまじまじと眺める。将人は遊章と初めて会った時には神様か仏様のように見えたなぁと思い出すのだった。幼稚園に入りたての頃、将人は極度の人見知りで誰とも話すことは無かった、所謂人見知りである。入園から数ヶ月友達が出来ずに孤独の縁にいたところを救ってくれたのが遊章であった。遊章からすればいつも一人でいて寂しそうな奴がいるから話しかけただけなのだが、将人にとっては真っ暗闇の幼稚園生活で初めて出来た話す相手であるので神様か仏様のように見えるのであった。 「本当に仏様になってどうすんだよ……」 将人は泣きながら遊章の喉仏を骨壷に入れた。それを見て遊章の父親が肩をぽんぽんと叩きながら慰める。 「うちの息子のために泣いてくれてありがとう。いい友達を持ったもんだな」 将人はその問いに答えずにひたすらに泣くことしか出来なかった……
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