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第四章、チワワと喧嘩したよ
月曜になって学校がいつもの通り始まった。
昨日の日曜日は動物病院に行き投与されているワクチンの確認等があり大人しくしていた。
将人が両親の前で「散歩」と言うとアーサーは尻尾を振って喜ぶパフォーマンスさえ見せてくれた。それをみて久美子は「あらあら可愛いわねぇ」と微笑ましい笑顔を見せた。アーサーが悪態をつく実際を見たら卒倒するのでは無いだろうか。
トボトボと帰宅すると、久美子とアーサーが出迎えてくれた。アーサーは尻尾をちぎれんばかりに振ってはいるが喋ることが出来ることを知っていると演技にしか見えない。
「たらいま~」
「お帰り、アーくんったら喜んじゃって」
アーくん…… 俺が出かけている間に仲良くなったもんだな。将人は軽く呆れるのだった。
「将人~ ゲームつけっぱなしで学校行っちゃダメじゃない」
「え? どういうこと? 」
「そのまんまよ アンタゲームつけっぱだったじゃない? アンタの部屋なんてアー君しか入らないんだし」
下手人はあいつしかいなかった。将人はその下手人であるアーサーを抱きかかえて自室に向かった。
「おい、大人しくしていろって言ったのにゲームか? どういうつもりだ?」
その瞬間、アーサーは目を逸らした。その目は明らかに泳いでいた
「いやぁ、余りにも暇だったもんで」
「犬だったら一日中寝てろ」
「眠くない!」
なんという言い草だろう。こう言ったペットにはあるまじき発言である。
「一体お前何やってたんだよ」と言いながら将人はセットしてあったゲーム機を見てみた。本体にセットしてあったのはレースゲームであった。
「そうそう、肉球だとコントローラー上部のLRボタンが押せないんだよ、メーカーに苦情メール送ってくれないかな? LRボタン使用してのドリフトが出来なくて困ったものでさ」
こんなイタズラレベルの苦情に付き合う程メーカーも暇じゃないだろう。そもそも肉球に合うコントローラーなんかどんな平行世界を飛び回る旅人であろうと見つけられるか!
「そもそも十字キーが肉球に合わなくてさぁ、カーブを無理して曲がろうとすると肉球に食い込んで痛いんだよね」
こんな苦情する奴はこの地球でアーサー一人だよ、犬になっても楽しくやってるみたいでで安心していた。学校に行っている時は心配する必要なさそうだ。
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