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それから、アンデッドの数が減る度にマークスは果敢にファラオに攻撃を仕掛けていた。
「おぃ、マークス。陣形が崩れるから、単独でBOSSへの深追いは控えてくれ」
ズンセックから忠告を受けたマークスは一端は従うが、状況を見極めては、またファラオに対して武器を向けていた。
マークスは連続攻撃が得意なプレイヤー。
ファラオに攻撃の隙を与える前に複数回ダメージを何度も与えていた。
だが、お得意の連撃を開始し始めたとき、事は起きた。
マークスが連撃中に脚を踏み外し、通常の軌道とは違うモーションになった。ファラオの腹部への攻撃のつもりが、軌道が逸れたことにより、ファラオの右足を斬ってしまった。
その時に、一瞬だけ表示された数字がマークスの視界に飛び込んだ。
『2』
何度も斬りかかっては表示されていた『1』ではなく『2』の数字が。
マークスは体勢を立て直す為、ファラオから少し離れ、呼吸を整えた。
「い、今のは……偶然、いや……もしかしたら……」
不用意に立ち止まっているマークスに対して、ファラオは狙っていた。
ライは必死に声をかける。
「おぃ!来てるぞ!!」
だがマークスは考え事をしている様子であり、無防備そのもの。ライはシールド魔法を詠唱し、マークスの身の安全を確保した。
が、ファラオはまだマークスへの接近を止める様子がない。
「……ちっ。とりあえず」
ライは傷ついたマークスのライフを一先ず回復させようと回復魔法を詠唱しはじめた。
そのとき、ファラオはライが近づくのを察知したのか、シールドを破壊しようとしていた動作を中断し、距離をとった。
結果、マークスへの被害は無く、ライフゲージを回復させることに成功した。
「どうしたんだよ、あんた!!ズンセックから忠告されてた割には無茶が多い。距離をとるぞ?」
そう言い、ライはマークスの身柄を確保し、ズンセック達のいる所まで近づいた。
「ナイス、院長っ!助けるの早い~」
「ったく、マークス。今日はどうしちまったんだ?!副リーダーのお前らしくねぇじゃねーか」
他のメンバーも二人の無事を喜んだ。
「ズンセック……本当に発言していいのか?」
「……見つけたのか?」
ライの言葉を聞くなりズンセックの声が少し低くなった。
「あぁ。まだ可能性の1つだがな」
ライは短くそう言った。
「……いや、まずは可能性でもいい。直ぐに共有しよう。今ならファラオとの距離は少しある。話し合いをするにはチャンスだ」
ズンセックがそう切り出すと、メンバー全員を集め近寄った。
「手短に話す。先に言うが確証はない。だが、不可解な点があった事を共有したい」
「いいさ、続きを」
ズンセックも喰い気味だった。
ライは乗せられるように続きを話し始めた。
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