第31話 初診:無口な王

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目指した先に光があるのかは不透明。だが、このまま同じような争いをしていてもいい結果は恐らく生まないだろう。 時に、恐怖と隣り合わせを続けたまま歩を進めないといけない時もある。 そう感じた一行はライの策に身を投じることにした。 このまま薄暗い祭壇の暗室で土に還るよりもマシだと結論付けたのかもしれない。 先に駆け出したのは『ウィダーガリー』のアスティーとモガ。 2人は阿吽の呼吸で歩調を合わせる事に長けている。お互いの存在を『視覚』による確認をせずとも、どのような動きをしているかを感じとることが出来る。 対して、荒れた地面から無数に出現してくる死体の群れ。 だが、アスティーとモガは、怯むことなくどのモンスターをどちらが倒すのかを言葉を交わせずともお互いが理解していた。 2人の功績は一筋の経路となって生まれた。 アスティーとモガが作ってくれたファラオへの道。 「すげぇ……これが『ウィダーガリー』の機動力。2人でゾンビの群れを本当に引き受けられるなんて、恐れ入った」 ライが立てたプランであったが、改めて感心していた。 「ライ、安心するなよ?!それが俺達『ウィダーガリー』の弱点でもある。機動力を酷使すればスタミナを激しく消耗してしまう。長期戦になれば成る程俺達は不利なんだ」 ズンセックはそう言いながら、ライ達と共に全速力でファラオへの元へと急いだ。 ズンセックのような巨体に走らせるのは酷だ。だが、これがライの立てたプラン。 少しでもファラオに近づき、 「ほら……構えろよ、ファラオ。攻撃を外されるのが怖いのかよ?」 煽るズンセック。 冷静なファラオも、ズンセックの挑発に対し、驚異と不快感を示したのか、好戦的な態度を見せるやいなや、目から赤いレーザーを照射しズンセックを狙った。 初見はさすがに避けきれず、防御に徹したズンセックであったが、三度目のレーザーのタイミングで、ファラオの顎を下から斬りあげ、 レーザーでの攻撃を不発にしてみせた。 「目線が変われば照準は定まらねえよな?」 一発目のレーザーが腹部を掠め、ライフゲージの大半を失ったズンセックであったが、秘技【スキルキャンセル】の腕前は健在であった。
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