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(4)
未だ誰一人として死んではいない状況。だが、司令塔のライが意識不明で倒れこんでいる状況下で、皆の闘志は既に灯火を失っていた。
マークスは雄叫びをあげ、無謀にもファラオに挑もうとしたが、ズンセックはマークスの腕を掴み、制止させていた。
「は、離してくだせぇ!あいつは、治癒師は裏切った俺なんかの為に犠牲になっちまったんだ!!落とし前つけさせてくだせぇ、親分っ!」
「『気にするな』とは言わねえが、落ち着け。ライが危険を侵してでもマークスを助けた意味を考えろ。ライはマークスが生きている方がいいと判断したから助けたんだ!!勝てるピースとして、お前が必要なんだろう。
武器を失ったからと自暴自棄になり、無駄死にをしても、それはライが望んだ姿ではない。命を粗末にするな、いいな?」
ズンセックの説得に声を殺して泣くマークス。
リコもライの想いを察しているのか、マークスを責めたりはせず「大丈夫、院長は負けないから」と笑顔さえ見せた。
アスティーとモガも副リーダーと目を合わせ優しく頷いている。
「情けねぇ……ほんとうに俺は情けねぇよ……」
後悔の念がマークスの心を埋め尽くしていたが、皆の優しさに正気を取り戻したマークス。
ただ、ファラオはお構い無しであった。
ズンセックと一定の距離を保ちながら連続で魔法を発動しては、息の根を止めようとしていた。
ズンセックの秘技『スキルキャンセル』が届かない絶妙な距離感を保ちつつの発動。
その為、防御一辺倒になってしまったズンセックの持久力はみるみる低下し、ライフゲージさえ失い始めている。
誰もが『ゲームオーバー』の烙印を覚悟し、目を閉じたとき、
ファラオのライフゲージが極端に減った。
ファラオを狙う魔法陣や攻撃は誰の目にも映らなかった。だが、悶え苦しむファラオを見て『何かが』ファラオに作用したと悟った。
「な何かが起きた……のか?」
マークスは理解できずに放心状態のまま言った。
慌ててファラオはその場から離れ距離を取った。そして、その後ろから現れたひとつの影。
「もし、俺が体験した幻想が本当の昔話だとしたら、俺の回復魔法は『懐かしい』と感じるかもな。なぁ?『ファラオ様』」
聞き覚えのある声。
声がしたかと思えば、間髪入れず『ウィダーガリー』のメンバー全員とリコのライフゲージが回復した。
だが、魔方陣は未だに出現していない。
「この優しい風に匂い……まさか!?」
リコの声の先には皆が願っていた姿があった。
「「ライ!!院長!!」」
皆の呼び掛けに答えたのはライだった。
「さぁ皆、快進撃と行きますか」
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