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「ライっ!意識が戻ったんだな?!」
「あぁ。寝ても覚めても争いに捲き込まれている気がするぜ」
「それにしても……お前、本当に『ライ』か?さっきまでとまるでオーラが違うぞ?それに今の回復魔法……まるで……」
魔方陣を生成することなく魔法を発動した姿を目の当たりにしたズンセックは、言葉を詰まらせていた。
今まで手も足も出なかった最恐の魔法師と謳われたBOSSと瓜二つの詠唱法で発動したんだ。驚きと同時に疑いの念が生まれても不思議ではない。
俺の全身を取り巻くオーラがファラオと酷似していることにも不気味さを感じさせているのかもしれない。
「まるで……なんだよ?!ファラオと同じっていいたいのか、ズンセックは?
……まぁ残念ながら、正解だ。昔流行った古代詠唱だそうだ」
「いつ……修得したんだよ、ライ」
ズンセックの問いにライは笑みを含みながら「睡眠学習さ」とだけ伝えていた。
「院長ぉ!!大丈夫?」
「あぁ。心配ない。魔力以外は……な」
「すッごい汗だよ?!」
「だろうな。」
「ライ……その様子じゃ、さっきの詠唱法は大量の魔力を消費……してそうだな。そう何回も発動できそうにもないな?」
「あぁ。『ウィダーガリー』と同じ【短期決戦】でお願いしたいところだ」
ファラオが怯んでいる間に俺は素早く全員を集め作戦会議を終わらせた。
ファラオは無敵では無かった。
物理攻撃では活路は見いだせなかったが、種族『マミー』である奴に対して『回復魔法』はダメージを与えられる事が証明できた。
だが、酷い話だ。
俺のような治癒師がいるチームはほぼ0に等しい。
運営側は、この最難関のクエストをクリアさせる気なんて更々無かったのだろう。
しかも、俺が体験したファラオの過去は、プチイベントでは無かった。
古代詠唱。
そんな化け物染みた発動方法をプチイベント内の報酬として存在している筈がない。
だが、俺はイシスから教えてもらった発動方法で魔法を使用することに成功した。
夢でも、幻でも、プチイベントでも何でもない。
もしかしたら、この祭壇を作り出したファラオを慕う民の念が、俺に託したのかもしれない。
『マミーのまま暴れだすファラオを止めてくれ』と。
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