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攻撃を防がれたイオマンテにも意地があった。
認識阻害スキルを駆使し、巧みに姿を消しながら俺に攻撃してきたのだ。
イオマンテの守備力は極端に低下しているが、攻撃力のない俺に対しては思う存分使用している。
イオマンテの認識阻害率は100%。つまり、絶対に目視では確認できない。
「イオマンテめ、殺気をも制御してやがる。全く気配がない……どれだけモンスターと闘ったらここまで強くなれるんだよ、ったく……」
全く見えないイオマンテの攻撃を避けるのは不可能に近かった。
どの方角から襲いかかってくるのか、判らず魔法で対処のしようもなかった。
とりあえず、傷の手当てをするために取り出したアイテム。
【王族の包帯】
「さて、どんな効果があるかな。これで少しは回復したり……してな」
俺は包帯を手にしたときに、ある違和感を感じた。
それは、包帯を手にしても【使用ボタン】が表示されなかったのだ。
普通、アイテムを持てばボタンが表示され、好きなタイミングで使用できる。
だが、包帯にはそのボタンが表示されなかった。
【使用ボタン】が表示されないアイテムにはいくつかのパターンがある。
①鑑賞用の美術品であること②使用する機会が限定的であること
そして、一番多いのは……
③アイテムではないこと
アイテムとは、そもそも消耗品である。ファラオにぶっかけた『回復薬β』がいい例だ。使用したり、破壊すれば無くなる。
勿論、スナッチされても無くなる。
この包帯が、とても美術品には見えない。ましてや、他の用途で使用するパターンも考えにくい。
つまり、この包帯は『アイテムではない』可能性が高い。
であるならば、次に考えられるのは……
【装備品】
俺は、装備画面から王族の包帯を選択してみた。
ーーーーー
王族の包帯を装備されますか?
※ステータス及び属性等に変化が生じます
ーーーーー
ビンゴ。
こいつは、どうも装備品のようだ。しかも、武器ではなく、装飾品の類い。
俺は治癒師であり、一切の武器を持つことができない。
だが、装飾品は違う。ほとんどのジョブは装飾品を装備することは可能である。
表示された注意書きが気になるが、迷っていても解決や解読には到らない。
【王族の包帯】を装備した。
……。
ライフゲージは、変化なし。
「なんだ、これ?!」
「ラ、ライさん……前!!」
包帯に気を取られていた俺の目の前に、姿を現したイオマンテ。渾身の一撃を俺に浴びせる寸前であった。
「はっ?ちょ!!」
流石に古代詠唱でシールドを発動する暇さえなかった。
俺は、反射的に腕でイオマンテの拳を受け止めようとしてしまった。
運が良ければ複雑骨折。
運が悪ければ粉。
粉になれば修復までに時間を要してしまう。
だが、
結果は、そのどちらでもなかった。
包帯を撒いていた俺の腕は健在であり、見覚えのある数値が表示された。
『1』
イオマンテの攻撃を受けた際に発生したダメージは、1であった。
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