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「さぁ、続きを……!?ソネルっ!イオマンテをこちらに呼んでくれっ」
「ど、どう……したの?!」
「しっ……気配がする。イオマンテに俺等も含めて認識阻害スキルで姿を消すように頼んでくれ!!」
まだ試したい事がいろいろあったが、一時中断となった。
どうも、来客のようだ。
「おかしい……この辺りに大きな気が複数集まっていた気がしたんだがな」
声。聞き覚えのない声だ。
さっき俺達が居た辺りに男が現れた。
腕にある大きなタトゥーが印象的な男。
(さっきまで私たちがいた……ところ)
(あぁ。俺達を捜しているようだな)
やはり見たことがない奴だった。
俺は対象分析する魔法を古代詠唱で発動した。対象者に悟られないよう、認識無効化の術式が編み込まれているから、プレイヤーごときに悟られることはまずない。
生前のファラオぐらいだ。この魔法に気づけるのは。
ーーーー
ハーミット(所属ギルト:蒼の一撃)
ジョブ:二刀流ゴーレム
ーーーー
キョロキョロと辺りを見ている奴はハーミットというらしい。
蒼の一撃……何処かでみたような
「大事な戦闘を控えてるのに、寄り道ですか?ロク番隊長」
続いて、他の声も聞こえてきた。
(綺麗な人だね……お姉ちゃんみたい)
ソネルはボソリと俺に呟いた。
ハーミットに話しかけているのは、女性ではった。
スタイルは良く、どこか凛とした品がある容姿であった。
まぁ、容姿だなんていくらでも工夫しようと思えば可能だ。それに、『中身は唯のおっさんでしたっ』なんて事は良くある話。
その点、リコはゲームの世界でも、現実世界でも圧倒的な美人だ。西園寺もMMC音楽コンクールで逢ったが、リコとは違う系統の美人。俺より年下って言うんだから恐ろしい話である。
そして、ソネルよ。
ソネルは美人というより、神秘的であり何より比類無き可愛さが他の追随を許さない程。
ハーミットに話しかけている女性には、特に興味がないが、一応調べておくか……
俺は、古代詠唱により対象分析する魔法を発動しようとした。
「魔力の流れ……誰か、そこにいるの?!」
女性はいきなりこちらの方を見て叫んだ。
(気づかれ……ちゃった?!)
(いや、認識阻害率は100%のままだ。物理的な接触がないと、まず気づかれない筈だ)
小さい声でソネルに耳打ちした俺。
イオマンテは、このスキルの使い手であるので、常に息を殺してじっと相手を見ている。
流石、認識阻害スキル使いのBOSSだ。
だが、あの女性は確実に俺の古代詠唱に反応した様子だった。
「流れを感じたのは……あの辺り」
女性はそう言い、アイテムストレージから取り出したのは、モンスターを仕留める用の使い捨てクナイ。
それをこちらに飛ばしてきた。
(ラ、ライさん……逃げる?闘う?)
(いや、ソネル、イオマンテ!『ステイ』だ。俺に任せろ)
俺は今にも動き出そうとするソネルとイオマンテを制止させた。
そして、こちらに飛んできたクナイを左手で軌道を少しだけ変えた。
ダメージは1。
物理的な攻撃で助かったぜ。
「……今、クナイの軌道が少し変わった?いや、でも何も見えないし、魔力の流れも感じなかった……私の思い違い……?」
そう言い、二人はその場から離れた。
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