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「この状況ではさすがに……」
「あぁ、アリス君。君の思う通りだ。皆に伝えてあげなさい……彼が作った道だ」
グデンファーは優しくアリスに促した。アリスは頷くと、凛々しさを取り戻し、周りにいる者達に話し始めた。
「皆さん、彼のいう通り、秘密のまま禁足地に同行させたこと、まずは深くお詫び申し上げます」
アリスは深々と頭を下げた。蒼の一撃の参番隊長である剣聖のアリスが頭を下げているのだ。
この状況下で許さない者は誰も現れなかった。
「包み隠さず伝えます。……実は、我が蒼の一撃のメンバーである、ゼーフィアを追って、現在総隊長が先にこの禁足地に潜りこんでいます」
アリスの話ではこうだった。
ある日、肆番隊長であるゼーフィアの姿が忽然と消えたのだった。
不審に思った蒼の一撃のトップである総隊長が、諜報活動をしていたらしい。
だが、総隊長が獲た情報は、思いの外、良くはなく、トップ3であるグデンファーとアリスだけにだけ伝えたのだ。
「ゼーフィアさんの行方がわからないなら、俺たちにも言ってくれたら良かったのに……」
残念がるメンバーではあったが、アリスは「ありがとう」と優しく頷いた。だが、顔はまだ険しさを少し残したまま。
「アリス。あんたらの代表がこの禁足地にいるのか?独りか?」
「えぇ。総隊長は単独で潜入しています」
「大丈夫……なのか?」
俺の質問に対して、周りのメンバーは皆『やれやれ』といった表情で呆れている様子だった。
「運び屋、あんた本当に何も知らないんだな、剣聖やグデンファーさんに対しての口調もそうだし、蒼の一撃について何も知らないんだな。喉を差し出す闘い方も新参者のように型にはまってねーし」
「悪いかよ?」
「いや……悪くねぇさ。むしろあんた見たいな馬鹿は好きだね。そんなあんたに教えてやる。蒼の一撃の総隊長『ハバ』はこの世界で一番強い剣士だ。それは間違いない」
一番強い?
剣士言っても、一刀流からリコのような双剣使いや、それ以上の剣を扱うジョブも存在する。
派生している種類はジャンル内でも一番多いだろう。それにも関わらず、一番強いだと?
何故言いきれるのか?
「嘘……だとでも言いたそうな目だな?」
また笑われている。だが、にわかには信じ難いのも事実。
「その者のいう通り『ハバ』は強い。ワシよりもな」
グデンファーが口を挟んだ。
「あんたも相当腕が立ちそうだけどな。あんたも単独で禁足地に潜入できそうだけどな」
「ははは。何を言う。魔法使いのいない現メンバーで、運び屋ほど心強い者はいない。……さて、本題を話すとするかな」
グデンファーの笑みが消えた。
「ワシ等が今いる禁足地……調べでは、極めて人工的な空間である事がわかっておる……」
「だ、誰かが意図的に作ったってことか?」
「左様、Dr.徳永。ハバの調べで、この地の創造に大きく関わっている人物として、ある1人の名があがった……」
「まさか……」
グデンファーはゆっくりと言葉にした。
『蒼の一撃』肆番隊長であるゼーフィアの名を。
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