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人は『未知』と遭遇した場合、決まった行動パターンを取ることが多い。
『理解しようと身構える』
理解しようと努力することは良いことである。が、個々の能力や経験値にバラつきがある為、理解しようと考える時間に差が生じてしまうのも事実。
時間を費やしたところで、答えに辿り着けない者は、ただ呆然とたっていたという結果だけが付いて回る。
「な、何がどう……」
動揺した者の思考回路は意味を成さず、何一つ伝達できずにいた。
気づけば足元。
咲き乱れる華のように美しくも不気味に光る魔方陣。恐怖に支配された者の処理をしているかのように何体もの身体を焼いては灰にした。
「作兵衛さ……」
指揮するアリスの声はもう作兵衛には届かない。
「名を叫ぶことが、何よりも先にすることか?」
アリスに声を浴びせたのはライ。混沌とする状況下でも、なお冷静でいた。
あと一人を除いて。
「うむ。生きている者は遠ざけた」
「遠ざけた……って、斬撃の風圧で端に吹き飛ばしただけじゃねぇか」
「Dr.徳永。して、この状況をどう捉える?メンバーをこれ以上失うのはギルドとして痛手だ」
ライは笑いながら話した。
「……じゃあ、撤退するか?あんな、わかりやすい危険物が現れたこの状況で?知りたい情報も聞かず?」
「無論じゃ。その為にワシ等はここにおる」
泣きじゃくる少女に対し、応戦しようとしているのはグデンファーとライ。その姿をみて、アリスは再び剣を握り駆け寄ろうとした。
が、その場で崩れ落ちた。
転がる剣の乾いた音でグデンファーとライは後ろを振り返った。
「アリス君!!」
グデンファーとライは、泣き止まない少女に警戒しつつも、まずはアリスに駆け寄る。
見た感じでは呼吸が荒く、意識もどこか遠い様子。
「どうしたんた?アリスは、あの少女からの攻撃はまともには喰らっていない筈だぞ?!」
ライの言葉に返答することなく、グデンファーはアリスの身体を抱えた。
「すまない、Dr.徳永。アリス君の体調が良くなるまで、あの少女から一端距離を取りたい。このままでは、蒼の一撃の全滅もあり得る」
「どうも……訳ありのようだな。隠さず全部話せよ、俺に」
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