1041人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女が語った真実は予想外の内容であった。その為、上手く理解しようとは試みたが、やはり素直に受け入れ難い部分があった。
「アリス……あんたが言った『本当に』の意味は何を指しているのだ?」
俺の問いに対し、答えるアリス。
「文字通りです。魔法を使うモンスターであれば『討伐』ではなく『消滅』します。存在自体を消してしまうので、報酬を獲ることはありません」
彼女はゆっくりではあったが、言葉を選びながらも答えてくれた。
そして、最大の疑念が俺の脳に浮かび上がる。
「プレイヤーも……か?」
「残念ながら……」
アリスは表現を誤魔化した。だが、彼女の表情と今までの会話の流れでは、モンスターだけでないことは俺でも察することができた。
「勿論、制御はできます。ただ、強力な魔法を使用されれば、もう1人の私が暴走しようとするのです……」
なるほどな。
さっき、突如現れた少女の魔法に対して、【魔女狩り】側のアリスが反応してしまったわけだ。
通常時は『剣聖のアリス』であり、魔法を使用する者を自分から攻撃しなければそれで済む。だが、強力な魔法を発動されれば、彼女の中の【魔女狩り】の部分が暴れだす。
で、先ほどは暴走させまいと、必死に押さえ込んだ為、体調が一時的に悪化したのか。
アリスが教えてくれたことにより、このタイミングで今までの疑問が解決することとなった。
『何故、蒼の一撃には剣士のみで魔法使いがいないのか』
それは、単純に剣士だけでメンバーを固めたいという願望ではなく、本当に魔法使いがメンバー内にいてもらうと困るからだった。
アリスの中の魔女狩り部分が暴走すれば、プレイヤーを倒してしまうかもしれない。
いや、倒してしまうだなんて、そんな生温い表現では済まされない。
先ほどの彼女の様子から考えると、消滅させてしまうのだろう。
消滅とは、つまり……
『アカウントの破壊』
その『結果』は今問題になっているこの禁足地で起きる事象と全く同じである。
アリスの魔女狩りに禁足地のプレイヤーデス現象。
そして、姿を眩ました肆番隊長であるゼーフィアの存在……
どうも、この一件は『蒼の一撃』を中心に起きているようだ。
最初のコメントを投稿しよう!