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「アリス……君は実に惜しい器でした」
語りだすゼーフィア。蒼の一撃のメンバーから囲まれても動じない。
「ハバ総隊長の……行方を知っているなら教えなさい。貴方の行方を追っていたのよ?」
「あぁ……嗅ぎ付けたようだったね……私の計画に。実につまらないプレイヤーだった。私に逆らわなければ、地位も能力も失うことも無かったのですが」
呆れたように鼻で嗤う。
「そ……総隊長が、そんな……」
落胆するアリス。
だが、グデンファーは違った。
感情に左右されず、まだ冷静にこの場に存在していた。
「ふむ……して、ゼーフィアよ。総隊長殺しをしてまで遂行したい計画とは?」
「副総……。あなたなら知ってますよね?スキルを奪われる事件が過去にあったことを」
スキルが奪われた怪事件。恐らくそれは『魔女オズワルの妬み』を指しているのだろう。
グデンファーもこのゲーム歴が長いらしいから知っているのかもしれない。
俺も知ってる。バディ・バトルのイベント前にズンセックから新しい情報は入手している。
結局、あのタイミングでは、ハイカカオの能力が事件の現象と酷似していただけで、実際にはハイカカオは犯人ではなかった。
それに……
俺は、魔女オズワルの妬み事件の被害者の1人でもある。
「うむ……勿論だ」
ゼーフィアの問いに応えるグデンファー副総隊長。
「計画……この世界と関係あるのか?」
続いて、俺も問いをぶつける。ゼーフィアからすれば蒼の一撃以外は眼中に無かったようで「君は?」と尋ねるが、眼は笑っていない。
微笑みを崩さずとも伝わる敵意。
「安心しろ。俺は付き添いの荷物持ちだ」
「雑用係から口出しされると興醒めします……まぁ、いいでしょう。この空間では、強者も弱者も神の前では無力……最期ですので特別に教えてあげましょう」
ゼーフィアは語った。勿論、笑みを崩さず。
奴の話では、魔女オズワルの妬み事件に深く共感したらしい。他のプレイヤーの存在自体を脅かすという行為に独特の美しさを感じたという。
そして、
この世界はゼーフィアが産み出した規格外の一部だと。ここでは、ゲーム運営側の監視外らしく、セキュリティも存在しない。
その空間内で起きた事象はダイレクトにプレイヤーのアカウントに反映されてしまう。
能力を奪えば喪い、身体を破壊すればアカウントごと消えて無くなる。
彼はそう語った。
「そうかい。じゃあ、あんたが黒幕なんだな?」
「違います……神です。この空間を支配する唯一神。そして、神である私は直接には関与しない。それは美しくないからね……私には他を圧倒する美しい右腕が必要だった。そう、美しい技と容姿を兼ね備えたアリス……貴女が」
「……え?」
「だから私は、貴女に『とある能力』を与えた。私の右腕として活躍するために。全ての者を破壊する『舞い』を私の側で披露してもらう為に」
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