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「嘘でしょ……」
かける言葉が見つからない。
「私が苦しんでいた事が……」
突如、プレイヤーのスキルを奪うスキルを兼ね備えた獲てしまった運命が……
「貴方だったなんて……」
『偶然』でも『奇跡』でもない。必然的に造り上げられたのだ。
アリスの悲劇は、意図して動かされていたのだ。糸で操られていたマリオットのように。
「アリス。残念ながら、貴女は美しいが不完全でした。魔力に反応し暴走しない限り、プレイヤーを殺める事ができない……それでは『美しくありません!!』どんなプレイヤーでも、狩れる能力がなければ意味がないのです」
なるほどな。
だからゼーフィアはさっきアリスに対して言ったのか。
『君は実に惜しい器だった』と。
「それに比べて、この子は完璧なのです」
ゼーフィアは嬉しそうに泣きじゃくる幼い子を紹介し始めた。
「さて……ご紹介が遅くなりました。神である私が誇る最強の武器を。
全てを無にする『終焉』を宿したこの子の名は『ヘカテー』
以後、お見知りおきを。
まぁ、
今から消える貴殿方には関係の無い話ですぅ!!」
異変を察知したメンバー。
だが、気づいたときには各自の足元から魔法陣が出現していた。
「踠いても無駄ですよ?野蛮な武器しか持たない貴方達に魔法を防ぐ術なんてありませんっ!!
そう。
貴方達は、アリスの能力に怯えるあまり、魔法を使う術を棄てた愚か者達ですのでっ!」
汚い笑い声とともに各自の足元から一斉に火柱が出現した。
「あはははは!!愚か者を燃やす炎は、なんて美しいのでしょう!!消えるっ!消えるのです、あははははは」
高笑いを重ねるゼーフィア。
だが、
火柱に包まれた者は誰独り消滅などしていなかった。
炎属性魔法の威力を半減する魔法が施されていた為、皆生きていた。
「なぜ……生きているのです!!魔法なんて誰も……」
初めて焦りを浮かべた。
「……ったく。最近、俺も嘘を重ねがちだな……ソネルの性格が移ったんだろうか……」
ゼーフィアは俺の声に反応し睨んでいた。
「貴様……神である私を騙したのですね?その薄汚い嘘で、わ、私の芸術を……」
「ん?何言ってるんだ?この空間では神なんだろ?まさか雑魚扱いした者の嘘ひとつすら見破れなかったのか?冗談だろ?ははははは……あんた、笑いの神か?」
「皆さん、無事ですか?!」
アリスは周りの者の安否を確認した。
「アリス君……やっと彼の本性が現れたようだ」
「さっきの防御魔法……まさか……」
「うむ。補助魔法だけでない……。その後直ぐに回復魔法も発動しておった。
補助魔法に回復魔法が使えるとなると、彼はどうやら治癒師のようじゃ」
「治癒師?!確か、攻撃できないジョブの……」
「うむ。しかし、妙に闘い慣れておる」
グデンファーが不意に笑った。
「どうされましたか?!」
「いやぁなに……少し昔の事を思い出していただけじゃ。彼を見ていると、どうも懐かしく感じてしまう。それが妙に滾らせるのじゃ。ワシの中の闘志を」
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