第32話 後継者と秋山からの依頼

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「い、一撃を防いだぐらいで喜ばない事ですっ!」 「ん?喜んでなんかいないぞ?ってか、お前さっきから独りでなに勝手に盛り上がってるんだ?」 「うるさいですね!!ヘカテー!!」 指図されたヘカテーは慌てて魔法陣の照準を俺に合わそうとしている。 浮かび上がる紋章が怪しく光を帯びる。 「へぇ……見たこと無い魔力帯だな。勉強にナルワー」 勉強になるだなんて、学校を放棄した俺が何を言っているのやら。 だが、残念ながら今になってわかったんだ。 勉強がなぜ必要なのかを。 そして、同時に人類が犯した最大の過ちにも気づく。 学ぶことを『勉強』というセンスのない単語で定着させてしまった罪を。 俺なら、こう言い換える。 『勉強』ではなく『経験』と。 生物が生き残る上で必要なのは『経験』にたつ行動。 痛いこと、苦しいことを経験すれば、次同じ場面に遭遇しても回避するための最適な行動をとろうと脳から前進的な指令が下る。 それが、 ゲームだろうと、学生生活だろうと、社会人として勤めても。 恐らく、根本は何も変わっていない。 俺はヘカテーの発動する魔法陣を既に2回は目撃している。 だから解る。 ヘカテーの発動の癖。 魔方陣が完成し、発動する直前に『瞬きをする』を。 いや…… 瞬きほど刹那の事象なんかではない。 むしろ、それよりも、やや長い瞬き。 何かから眼を反らすために、わざと観ないようにしているよう…… しかし、 ヘカテー本人なら教えてくれる合図が存在する限り、 発動するタイミングにあわせて避けるなり、シールドを創造すれば炎を防げる。
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