第33話 リコ 欲しがりにつき

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「アリスを呼んだ覚えはあるが、ハバは用がなければお引き取り願おうか」  流石、ファラオから受け継いだ戦利品だ。殺傷能力は無くとも、プレイヤーを強制的に押せるこのパワーは計り知れない。 「ちょ!ちょ!ちょ!待ち~な。折角の対面なんやさかい、楽しもうや。何でも事を急いだらあかんで。『急がば回れ』や」  すまんな。生憎だが琵琶湖の昔話には興味はない。1秒でも早くフェイクニュースの誤解を解かねば、俺が質問責めに遇うこと間違いなしだ。 「わかった!降参や、堪忍して。要点からすぐ話すさかい」  音を上げたムートは俺からの無言の圧力に屈したのか、この場に来た理由を話し始めた。  聞けば、内容は禁足地の件であった。ゼーフィアが亡くなったにも関わらず、禁足地の存在は消滅すること無く未だに残っているという事実についての議題であった。  確かに俺たちが脱出するまでの間も禁足地は何一つ変わることなく存在し、今も尚存在し続けている。 「率直に聞くけど、どう思う?」 「禁足地とゼーフィアの関係は当然に濃いと思う。奴は言ってたぞ?『禁足地は自分が産み出した規格外バグの一部だ』と」  禁足地で受けたダメージはプレイヤーの情報やスキルと関連している。身体が切断されればそのまま。ライフゲージを失えばアカウントの消滅。  アリスに与えられた危険なスキル『魔女狩り』もそうだ。禁足地でなくても、魔女狩りが発動中に殺されれば、禁足地での結果と同様の悲劇を生む。  ゼーフィアの『バグ』を利用した無差別キルという前代未聞の事件であった。  現状は、アリスの魔女狩りの能力は、ヘカテーに破壊してもい、今では心置きなく剣を振るうことができているそうだ。  だが、全てが解決したとは言い難い現状が残っている。 【禁足地の存在】  未だに存在し続けているのだ。 「そう。白衣の参謀さんの言う通りや。確かにゼーフィーが禁足地の創造に大きく関わってると思う。アリスたんの魔女狩りもせやったからな。ただ、本当に1人で0からそんなバグを創れるやろか……」  確かにそうだ。ハバの考えは正しい。 「ゼーは賢いが、カリスマでは無いタイプのプレイヤーだった。精々、カリスマに心を奪われる程度だ。で、あるならば、ゼーは『バグ』を創造したのではなく『活用』しただけに過ぎないと過程すればどうやろな?元々『バグ』が存在していたとすれば、これまで起きた『不可解』に納得するんちゃうやろか……例えば、BOSSにスキルを強奪される謎のクエスト『魔女オズワルの妬み』……とかな」
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