第34話 領域外フリーフィールド

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 犯罪者の中でもランクがあり、暴行を含む窃盗、強奪等やアカウントの乗っ取りや売買などの低ランクから始まり、運営するサーバーへの攻撃を含む迷惑行為や運営側を騙る詐称行為など高ランクに位置付けられるものがあるらしい。  俺とハイカカオのネームの色は赤。しかもワインレッドに近い濃い赤色だ。リシャミーの知識ではワインレッドはランクが最高ランクだそうで『運営側が直ちに排除すべき一級犯罪者』だそうだ。  運営側がこのゲーム内に設置している監視カメラに映った瞬間、ヘルナンデスのような隠れ用心棒が排除に来るとのこと。  そこで、ゲームオーバーになった瞬間、運営側が犯罪者の意識下を乗っ取り、痛覚を最大限に活用した拷問が行われるらしい。ネットに意識下を移している俺たちの脳にダメージが伝わるように特殊な電気信号を送るのだとか。  ゲームオーバーをせず、ログアウトした場合、運営側に意識下データをハッキングされる心配はないらしい。  そんな恐ろしい話をリシャミーから聞かされたとき『禁則地の方がまだましだな』とすら感じてしまった。 「これから2人はどうするの?」  リシャミーは俺ら2人を心配してくれているようだ。だが、おたずね者になってる以上、下手に一緒に行動するわけにもいかない。かといって当てもない。未知の世界に潜り込んでまだ数十分だ。 さて、どうしたものか。 「ちなみに、リシャミーは仕事で来てるんだよな?」 「わかる?さすがライくん!!最近、イベントに参加するプレイヤーが減ってきてるみたいで、急遽呼ばれたんだぁ~頑張らないとね」  いつもより、張り切りを見せる。今までアメリカのイベントで呼ばれることは少なかったらしい。リシャミーに似たMCを務めている子がいたらしいのだが、急に姿を現さなくなったそうだ。その点、リシャミーは違う。彼女の存在そのものが『データ』であるから出演するのは他者より容易。 「そうだぁ!2人とも次の宛がなければ、イベントに参加しちゃったらどうかな?」  嬉しそうに話す姿が眩しい。『妙案』『妙案』と呟きながら舞うリシャミー。 「いや、折角の提案なのだが……」  知り合いが現れて救われたのは感謝。命の恩人だ。だが、彼女の策に甘えれれば巻き込む形となってしまう。俺とハイカカオは一級指名手配者だ。親しき仲ではあるが無関係な者を危険な目に晒すわけには…… 「なんで?次のイベントはプレイヤー主催だから身元はバレないよ?!」  だから、どんな理由であろうと目立つわけには…… 「イベントに参加してないと、逆に目立つよ?」  悪いな、リシャミー。お前の優しくて他人想いなところは嫌いではない。だが、俺たちはアメリカまでイベントに参加しに来たのではない。 「そっかぁ、う~ん残念。『かくれんぼ』だから楽しいんだけどなぁ~」
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