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「で、そろそろ教えてくれても良いだろ?」
「んもぉ、仕方無いな~。特別大サービスだよ?公式でも発表していない『超』がつく程のトップシークレット情報なんだからね?
ドラムロールスタートぉ!
ダガダガダガダガダガダカ ダダン!!
私の好きな食べ物は【あんみつ】です。誰にも言わないでね」
満面の笑みで可愛くポーズを決めるリシャミー。俺等2人はそれを唯々冷たい眼差しで受け流していた。
「治癒屋。このうるさい奴の息の根を止めても構わないか?」
「ちょっとハイカカオくん。それはいくらなんでも辛辣過ぎだよ?!ほら、ライくんからも何か言ってよ?!『俺の好きな女に手出すなよ』的なワンフレーズを言うチャンスだよ?!」
すまん。今のリシャミーでは、ハイカカオから、こてんぱんに苛められても俺も文句は言わないだろう。
俺の問いに対し誑かす仕草は可愛いが、今は呑気にリシャミー観察をしている場合ではない。
「痛っ?!なんだぁ?!」
俺の左腕に微かな衝撃があり、痛くはないが思わず大きな声を出してしまった。犯人はリシャミーだった。俺の左腕をポンポンと叩いて必死に俺にアピールをしてきているではありませんか。
よく見ると、背中の服の隙間に小さな標識がすっぽりと刺さっていた。小さな標識には【騒音防止区間】と記載されていた。
「へぇ……凄いな!こんな標識もあるんだな」
思わず感心してしまった。リシャミーは背中の服に刺さった標識を必死に取ろうとしているが、絶妙な位置に在るため、自分では取れそうにもなさそうだった。
この標識を刺した犯人は、勿論ジョブ:道路管理者だろう。こんな唯一無二のスキルを使える人間はそう簡単に見つけられない。
「これで五月蝿いのは片付いたな」
ただ、リシャミーは必死だ。彼女は喋りを生業として生きてきており、今後声を出せないとなると死活問題どころか、存在意義そのものに影響しかねない。
【ライくん!助けて!】
リシャミーは次なる作戦に切り替えていた。フリップを用意し、筆談により俺に助けを求めてきた。
が、俺はすぐには応じなかった。もう少しだけ、涙目のリシャミーを観察したいと思ったからだ。
リシャミーのように完全デジタル上のキャラクターでも、ここまで人間のような振る舞いをしているのは、流石に俺も少し興味が湧いた。
リシャミーはどこまで我慢できるのかなっと。
この時、主催者であるルカラの気持ちが少しだけ理解出来た気がしてしまった。
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