1041人が本棚に入れています
本棚に追加
「済んだか?」
「あぁ、待たせたな」
ハイカカオの問いに笑顔で答える。抱えていた不安を払拭したことをアピールするためにドヤ顔混じりで対応したが、ハイカカオは俺の表情を見て呆れていた。
「ん?どうした?」
「『いちゃつき』を待たされた俺様も丸くなったと思ってな」
「はぁ?!いやいや、何言ってるんだ?ちゃんとリシャミーのトップシークレットネタを入手したぞ」
「その女の仕草を見ればわかる」
え?リシャミーの?
俺もリシャミーの姿を見た。すると、俺の横で満更もない表情を浮かべながら『へへへ』と照れつつ笑いで誤魔化そうとしていた。
いやいや、何だよそのリアクションは!!本当にいちゃついてたと勘違いされかねないじゃないか!!それでも運営側から極秘に任務を任されているデバッガーかよ?!しっかり、シャキッとしろよな!
ハイカカオに要らぬ誤解を持たれながらも俺達は先に進むことにした。
……何処へ?!
「あれ?!結局、俺達これからどうすればいいんだっけ?!」
「えっと、私の情報では、主催者のルカラさんがイベントとして用意した死神ネルガルなんだけど、あれは別のプレイヤーと契約して一時的に借りてきているモンスターみたい。
そのモンスターは、制作者不明のmodが組み込まれていて、その影響でプレイヤーのアカウントがおかしくなっているみたいなの」
……おぉ!!そ、それだよリシャミー!!いきなり、的確な事言い出すじゃないか!流石は仮想空間のバグを処理するデバッガーだな。RPGで言えば、超重要なヒントをくれるナビゲーターみたいだ。
いきなり頼りになる仲間が加わったことで、俄然やる気が漲る俺。
「それな」
リシャミーの説明後、俺は一言だけ加えた。
「……。はぁ~、大した参謀だな。こんな奴に1度でも負けた俺様が情けない」
何をそんなに落ち込むことがあるんだ?いまや最恐で唯一無二と称されているハイカカオ様とあろう者が。
「ねぇ、ライくん」
「おぅ、どうした?!」
「ライくん達は何でアメリカの世界にコンバートしてきたの?!」
「あぁ。確かにリシャミーからすれば気になるよな」
俺は、極秘情報を教えてくれたリシャミーには全てを話してもいいと思い、政府側の密命を受けて、禁則地に関するバグや事件関係を追っていることを伝えた。
「そっか……じゃあ、ライくんも私と同業者ってことなんだね」
「あぁ。内緒な」
「ふふっ」
「ん?俺今変なこと言ったか?」
「あっ違うの。私とライくんの2人だけしか知らない秘密ができて、嬉しくなっちゃって~えへへ」
可愛い仕草を見せて照れるリシャミー。そして、溜め息が絶えないハイカカオと3人で再び歩きだした。
「さ、行こうか。死神退治とやらを」
最初のコメントを投稿しよう!