第35話 枯樹生華

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(5) 「ねぇねぇ……意識が朦朧としてる時にいろいろとコロコロと変わりすぎてて質問したいことだらけなんですけど?」 「ははは、何を言ってるんだリコは。おかしな奴はだな、さぁ、先を急ごうじゃないか、アハハハハハ」  リコのおへそを堪能し過ぎて、ついついリコの状態異常を治すタイミングを見逃した俺は、リコをおんぶしたまま移動し、そのままクエストに参加したのだ。 「ねぇねぇ、何で私クエストに参加しちゃってるわけ?」 「ん?一緒に楽しく事前準備してたじゃないか?」 「楽しんでいたのは院長だけでしょ。それに、参加するとはまだ言ってないでしょ」  その点についてはリコのいう通りだ。最終の確認を行わずして運び込んでしまった。意識が戻るなり痛い所をついてくるじゃないか。おへそが可愛いくせに、鋭い斬り込みをするじゃないか、流石だぜ。 「リコは、学祭の前の事前準備だけを張り切る生徒会役員か?本番を楽しんでナンボ(・・・)だろ?」 「うぅ……それはそうなんだけど。でもでも!どんなクエスト内容か知らずにこのまま来ちゃたよ?BOSSとかいるんじゃないの?!  弱点は?有効属性は?必須アイテムは?オススメ陣形わぁ?」  特有の質問四連撃が放たれた。以前は、動物の名前を連呼するだけの『名称連撃』だったが、最近はちゃんと聞いてくれるからありがたい。名前だけ叫ばれても正直困る。 「弱点も有効属性も未発表だ。だけどBOSSはいるみたいだ」 「ねぇ……そ~れ~よ~りぃ~~」  凄い剣幕で俺に近寄ってきたリコ。ドシドシと足音を立てながら向かってくる姿はさしずめ恐竜だ。 「リコノザウルス…「今何か言ったっ?」」 「いやいやいやいや、別に!!それよりどうしたんだ?」 「何で私達だけじゃなくて、あの人がいるのよ?!」  リコは指を差して俺に詰め寄る。 「うむ。Dr.徳永よ。お主、リコ殿に伝えてはいなかったのか?」 「あぁ、面と向かって話すのは初めて……だったか?紹介するよ、今回同行してくれるグデンファーだ」 「知ってるわよっ!!蒼の一撃の英雄、グデンファー副総長さんでしょ?!彼に憧れて剣士目指したプレイヤーが世の中にどれ程いたか逆に院長は知ってるの?20万人よ、20マンっ゛!!」 「へぇ~そいつは凄いな。ヒーラーの総プレイヤー数なんて今や二桁あるかないかくらいじゃないかな、あっはっは」
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