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「2000分の1258かぁ」
「何見てるの?院長」
俺が情報を確認していると、ひょこりと覗き込んできたリコ。透かさず俺の前に来ては、独占してきた。
「ねぇねぇ、何の数字なの?」
「リコの後頭部しか見えねえよ」
「んもぉ、意地悪言わないで教えてよ~」
俺のすぐ前に陣取っては居座るリコのせいで、全く情報が見えない。せっかく新しい情報オプションが追加されたので確認しようとしたらこの様である。
冬の寒い時期に、ガスストーブをつけた瞬間に飼い猫がストーブの前を独占しているあれと同じだ。もしくは、PCで作業していたら、キーボードの上でわざと寛ぐ猫だ。
「それは、現時点で生存しているプレイヤーの数を表しているのさ。ほら、数字の上にアルファベットがあるだろ?」
「あ、ホントだ」
「俺達はM組だ。各組の同時ログインは最大で2,000組だ。つまり、既に742組が全滅もしくはリタイヤしたってことだ」
「ふ~ん、じゃあ、BOSSにあってやられちゃったって事?」
「一概にそうとは言いきれないが、何らかの形でチャレンジが失敗したって事なのは確かだな。しかも、しかもだ!今回のクエストのギミックで面白いのは、途中でクエストから一時退席しても、また戻ってこれる仕様になっている」
「何それ?!負けるとアウトで、中抜けオッケイ?」
リコの表情が何ともわかりやすくて好感がもてる。俺も最初聞いたときはびっくりしたさ。要は、ギルドが全滅していなければ、一旦クエストから離脱して、そしてクエスト期間内であれば、再入場が可能となっているのだ。
その間、作戦の練り直しが何回でも可能であることを意味している。
「珍しいね」
「あぁ。ただ、こんなギミックを用意するって事は、BOSSがやたら強いとか、謎解きが非常に高難易度のどちらかだろうな」
「ふむっ。では、武力ではワシ等を、そして知ではお主に頼るという形になるじゃろうな」
「ま、そう言うことだ」
今回のクエストは自由度が有りすぎる。途中退出を認めるということは、BOSS戦で不利になったとしても、ライフゲージさえ残っていれば、いくらでも逆転が可能となる。
ただ、俺達はBOSS退治に遥々やってきたのではない。BOSSとは別の異物を調べに来ている。
「それでは、今から宝探しに出発っ!!」
満面の笑みで装備している短剣を掲げていた。
「遊びにきてるわけじゃないからな」
その短剣は探検する為にあるのかと疑いたくなる。リコのお宝好きには感心する。
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