第35話 枯樹生華

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 準備は整った。ライフゲージも満タンであり、リコもグデンファーもさっきから俺と目を合わせてくれない。  なる程な。  2人ともクエストに集中しているようだ。ははは、それでいい。それでこそ、誘いがいがあったというものさ。  俺達が再集合したタイミングでは、残っているギルド数は20を下回っていた。クエストに参加できる日数から言えばあと3日強はあるにも関わらず、攻略に失敗しているギルド数が多すぎる。  残りのギルドは、時間をかけて策を練る鈍行タイプか、もしくは俺達みたいに1度解散して再集合するタイプかのどちらかになるだろう。  リコも、希少系の装備品を入手している状態だから、慎重になりつつも、イベントが開催している時間内にBOSSを討伐しなければならない。  まだ、BOSSが何なのかを把握していない俺達は他のギルドより少々急ぎ足で事を進めていく必要性がある。 「なぁ、俺が竹林草の壮大な実験をしている間、グデンファーは何をしていたんだ?」 「ワシか?片腕だとお主の足をひっぱりかねないからのぅ」  俺はこの3人ギルドのリーダーであり、誰がどんなモンスターを討伐したかをデータ上で知ることができる。  グデンファーは解散後もこのクエスト内に残っていたみたいで、中型獣の討伐数が68と表示されていた。 「なぁ……グデンファー。まさか、BOSSを倒してないよな?」 「あっははは。その方が良かったかい?安心せい、ワシもまだ遭ってはいない。遭えたのは、ホワイトタイガーぐらいじゃ」  ずっとINしていたグデンファーでさえ、BOSSの姿を視ていないとなるとこれまでのBOSSと違って厄介な相手なのかもしれない。  そして、グデンファーのおっさんよ。ホワイトタイガーは死ぬまで追いかけてくる性質で、猛獣系のモンスターの中では一番めんどくさい相手だぞ。他のクエストでは、中BOSSクラスなんだが、そんな奴を独りで68体も倒しただなんて、何考えてるんだよ。  グデンファーからすれば、ウォーミングアップ程度しか思っていないのだろう。流石蒼の一撃のNo.2だ。俺等とのレベルの違いを感じさせる内容であった。
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