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2人には麒麟の秘密について情報を共有した。
「回復?どおりで今まで誰も麒麟さんを倒せないわけだ。回復だなんてズルみたいなものだもんね」
「うむ、では麒麟本体ではなくDr.徳永のいう『異物』を取り除く作業を優先じゃな、回復は厄介じゃからのぅ」
「んだよ、2人して。治癒を悪者扱いしやがって。あれか?麒麟からの攻撃を受けてすぐ回復魔法唱えなかったのを根に持ってるのかよ?」
仕方無い。たまには治癒師としての役目を果たさないとな。
俺は傷ついた2人に対して回復魔法を唱えた。
「いつもありが……あれ?攻撃力も上がってる?」
「うむ、ワシはクリティカル率の数値が上昇しとおる」
「あぁ。回復ついでに武器の耐久力も回復させといたぞ?グデンファーは流石巨大ギルドの副隊長様だな。所持している武器の劣化が無かったから、武器の回復のしようがなかった。武器に対する敬意すら感じた。リコも、このじーさんの事ちょっとは見習えよな」
「院長、今……」
「Dr.徳永……今何て言ったかのう……
」
「ん?何だよ。じーさんの事ちょっとはみ」「その前よっ!!」
「前?所持している武器の劣化が無かっ」「その後よ!!」
「何だよさっきから前だの後だの……」
「確か、お主武器の回復がどうとか……」
「ん?あぁ、回復魔法唱えるついでに、武器の状態も回復させた事か?何だよ、そんなことでいちいち」
「いちいちも、何も無いわよ?!院長、あのね、武器は普通消耗品だから、使用すればだんだん劣化して攻撃力は下がるし、下手すれば武器損壊しちゃう事だってあるの」
「ふむふむ」
「だから、ワシら剣士は鍛冶師に武器のメンテナンスを依頼するわけじゃ。高額でな」
「ふーん。じゃあ、一回分メンテ代浮いて良かったじゃないか」
「メンテ代って……院長、貴方ね事の重大さが全く分かって無いわよ!!」
「して、治癒師なら皆武器の回復魔法を唱えることは可能なのかのぅ?」
「んや、麒麟に激昂を付与したのと一緒で、回復魔法にちょっと工夫してるから俺以外はたぶん無理だと思う……あ、ファラオなら出来るかもな」
って、ファラオは俺の影に隠れたまま最近全く姿を見ていない。
「じゃあ、院長に頼めば回復魔法で武器を治しちゃうどころか、グデンファーさんみたいにクリティカル率の上昇まで出来ちゃうって情報が、この世界中に漏れちゃったら、院長の病院が明日から剣士さんの患者で長蛇の列になっちゃうわよ?!」
何だよそれ。平井医院の診療内容が【恋患い科】と【武器メンテ科】の2つになってしまうではないか。恋患い科の担当がテローゼで、武器メンテ科が俺って事か?そんな馬鹿げたクリニックが有ってたまるか。俺は総合内科であり総合外科だ!!
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