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「だって私は……」
だって私は華道の名家である横山家に産まれてきてしまった1人娘。周囲の期待に押し潰されて気体したかのように外へ飛び出した半端者……
自分の事ばかり考えて、相手の気持ちや距離感がわからず、華道に関する人達に、仕事先の先輩や後輩とも上手く行ってないとモヤモヤしながら生きてきた。
そんな私のストレスの発散として選んだゲームの世界。ここでも他のプレイヤーとの団体行動に自信がでなくて、大型ギルドに加入することさえ敬遠してきた。
今でもそう。私の馬鹿な行動に振り回された院長とグデンファーさん。きっと私の事を軽蔑しただろうなと思い込んでた。
そんな私なのに……
どうして2人は、こんな私を助けようとするの?
「うむ。どうやら大丈夫のようじゃな」
枯渇しそうなライフゲージのグデンファーさん。私なんかを助けに来なければ、まだまだ闘えたはず……
「いやぁ、それにしても3人とも派手にやられちまったな。神獣クラスとなると生半可な作戦だとすぐに綻びが出るよな」
治癒師のくせに、こんなにボロボロになるまで私を助けようとしてくれる院長……
2人に何を言って良いかわからない。感謝なのか、謝罪の言葉なのか。
気持ちを整理する時間を与えようとはしてくれない麒麟さん。けたたましい音ともり現れた雷撃は無惨にも2人を襲った。
「ぐぬっ……ここまで強いとはのぅ」
「ちっ。まともに喰らってしまったな……状態異常つきかよ」
「そ、そのようじゃ……スキルがだせぬ」
「【スキル麻痺】?!麒麟、とんでもない技出して来やがって」
「そういうお主も、MPが無くなっておるぞ?」
「あぁ、俺はさっきの雷撃でMPを枯渇されたみたいで殆んど残っちゃいない。雷で相手のMPを奪う、スキルは麻痺する。一時的にリコも話せなくなってたみたいだし。麒麟の使う技とんでもなくチート過ぎるだろ、ったく……」
何でなの。2人とも私のせいで絶体絶命なのに、何でそんな笑顔を浮かべられるの?
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