第28話 異常インフルエンサー

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(4)駆け出した俺達には深雪が待ち構えていた。走る度に足下が少し沈みこむのがわかる。 だが、 「方向はこっちだ、急げカジキ」 こんなところで前進しないわけにはいかない。 「待ってよ!」 「待つ?何言ってんだよ。勝ちたくないのか?」 「か……勝つって本気で言ってるのかよ?」 「あぁ。俺は嘘姫(ソネル)じゃないからな。勝てもしないのに、冗談なんか言わないさ」 「じゃあ、僕たちが龍狂(ローキョウ)のもとに向かうのとどう関係があるのさ。僕たちが向かって、一体何の役に立つのさ」 振り替えればカジキは真剣な顔をしていた。 「いい顔つきだ」 「また馬鹿にしてるのかよ?!」 「あぁ、そうかもな。出逢ったときは『悩む事を放棄している』ようにしか見えなかったからな」 「……」 「今は違う。『勝機が有るなら教えてほしい』という眼を少なからずしている。その気持ちがあれば歩は進むさ」 そして、 俺達は雪原を駆け進んだ先に、 ノアは龍狂(ローキョウ)と対峙しているのを目撃した。 龍狂(ローキョウ)のチームワークは見事であり、HIT&AWAYを駆使しつつ、巨体に挑んでいた。 そんな中、一際異彩を放つ人影がいた。 剣先をターゲットに向けるのではなく、何もいない空へ向けて振り回している。 空振りからの空振り。 見事に何も斬ってはいなかった。 「あいつ……キーリンスか。何やってるんだ。もしかして、錯乱の状態異常になっているのか?!」 「はぁ……おっさん、龍狂(ローキョウ)の事を本当に何も知らないのな。よく見てみなよ」 カジキに馬鹿にされつつ、俺はキーリンスの姿を追った。 すると、彼の奇行の謎が解けた。 彼が空に放った無数の斬撃は空中で制止し、彼の合図とともに動き回るノアの身体にめがけて飛んでいた。 「すげぇな、なんだあの攻撃」 「あれが、キーリンスさんが所有している妖刀サクリファイスの正体。追尾する斬撃を産み出す魔剣。そして、キーリンスさんが繰り出した技は『龍殺』。龍族へのダメージが極めて高いオリジナル技さ」
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