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「……そう、ですね」
初対面の男に向けられた表情もそうだが、ぞくっとするようなセリフがさらりと囁かれ、人ごとのようにこの人モテるだろうなと感想を抱きながら、ちろりと携帯をまた見る。
懲りもせず鳴らしてくる相手と対峙する前に、誰かに話してスッキリするのもいいかも知れない。
どこの誰とも知らないこれっきりの人だからこそ、気軽に話せるものもある。
もともとこのお酒がなくなったら動こうと思っていたところだったので、その着火剤として話を聞いてくれるというのなら、言ってしまおうと千幸は口を開いた。
そして、聞き上手な相手につらつらと愚痴っていたのだが、最後の相手の言葉に千幸はんんっ? と思考と動作を停止した。
「えっ?? 今なんて?」
「隣、空いてるよ」
「空いてるよって、隣に座ってますよね?」
「違う違う。本当の意味の隣」
「……??」
理解できない。
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