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わずかに顔をしかめると、隣の男性は肩を竦め苦笑する。その仕草も魅力的で様になっているが、疑いだすと詐欺師に見えてくる。
「今、疑ってる?」
すると、くすりと微笑みながら口にする男性に、千幸はますます疑念を抱きながら相手の出方を待つ。
怪しすぎて、こっちから反応するのが怖くなった。
そんな心情もお見通しかのように穏やかに笑ってみせる相手に、千幸は疑惑の眼差しを強くした。
────様になりすぎて怪しい!!
思わず突っ込みたくなるような表情に、千幸はずっと見ていられず最後には首を傾げる。
怪しいなとは思うのだが、向けられる眼差しはずっと優しい気がして、その視線に晒されると全力で疑いにくい。
そう感じる理由もわからないし、本当にそうならなぜ彼はそこまで自分を優しく見つめるのかもわからない。もし、これが常なら結婚詐欺師の手口にも見えなくもない。
ちょうど、痛手を話してしまったばかりに、カモといえばカモな状況だろう。
つつつっとどうしても正直に寄っていく千幸の眉根を見て、情けなさそうに眉を下げる男性。
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