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「違うよ。翔」
それでもめげない隣人。ふっとダメな子だね的な笑顔とともに告げられた言葉に、千幸は呆れた表情を隠さなかった。
耳は付いているのだろうかと思うほど、都合の悪いことは聞こえないのか触れられない。
このやり取りは何度目だろうかと思いながら、千幸は小さく溜め息をついた。
そこまで言うなら呼ぼうかと考えたこともあったが、呼んだら呼んだで面倒そうでやめた。
今回も、相手がそうくるならこちらもするっと聞かなかったふりして視線で訴える。
「……どいてくれます?」
「ああ、ごめん」
言葉で謝罪し小野寺はわずかに身体をずらしたが、千幸が鍵をかけるのを待っている。
────…………。
はっきり言ってすごく邪魔だ。真後ろに立たれ、気になって仕方がない。
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