元彼

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 しばらく、こっちと地方で行ったり来たりと忙しくなり準備が整い次第向こうに行くことになるそうだ。  御愁傷様。  千幸は心の中で呟いた。  微妙な時期ではあるがなくはない話だ。頑張ってとしかいいようがなく、期限が見えた気まずさがなくなる安堵の方が勝つ。  さっきも気まずいなって思ったばかりだが、そう思った期間はまだ数えられるほどだ。別れてから一ヶ月。顔を合わせたのは20日ほど。それは多いのか少ないのか。 仕事でのことなので、千幸にとっては時間の長短の感覚はあまりないが、取り敢えず濃い一ヶ月であった。  そして、同じ月日を待てば、彼はこの空間からいなくなる。しかも、その間は彼は忙しく、ここにいることも少ない。 千幸的にもいつかは出て行くと思えば気も楽だ。  浮気を知れたタイミングもこうなると良かったのかも知れない。そう思うようにした。  千幸たちの会社はインテリア、雑貨を扱い、コーディネートも手がけている。 代表者が事業を立ち上げてまだ数年しか経っていないが、ホテルなどの内装や個人宅のコーディネートと幅広く事業を広げ、着々と実績を伸ばしている。  千幸はそのホテルや個人宅のコーディネートの仕事をいつかしたいと思っているが、まだまだ学ばなければならないことが多く、現在は現地に飛んでいる社員との取次や、資料まとめ、進んだ企画の進行をまとめる部門に所属していた。
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