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何もしなくても女性が放っておかないだろう男が、千幸のどこを見て何が気に入って構ってくるのか謎だ。
変人と言い切るにはハイスペックすぎる隣人を、どこか残念な美形さんだなぁ、と考え疲れた時はそう締めくくって思考から追い出していた。
でも、取り敢えず変なことは変だ。出会いから、今の状態は変としかいいようがない。
なので、千幸は気持ちを乗せて声に出した。
「小野寺さんほどではないですよ」
「へえ。千幸ちゃんは俺をそう思ってるんだ?」
「違いました?」
失礼かなと思ったが、先に言われたのでそのまま返した。数々の言葉の応酬でこんなことでヘコタレる隣人ではないことは知っている。
だが、相手はちょっとした気遣いも平気で何でもないかのようにひょいっと超えてくる。
「いいや。千幸ちゃんがそう思うならそうなのだろう」
「………………っ」
…………何ですか、それ!! なんで、私に全幅の信頼を置いてるんですか。
へえっと言ったときは、流す目元とかふっと笑う感じとか大人の色気ムンムンだったのに、何か言葉が残念だ。
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