プロローグ

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「行ってきますね」 「うん。行ってらっしゃい」  すぐに嬉しそうに返され、へらりと微笑まれる。 「…………」  すっごく嬉しそうにというか、びっくりするほど緩んだ顔に、千幸はただ無言で無心で固まり彼を見た。 「ん? どうしたの?」  すると首を傾げ、顔を寄せて囁かれる。自然と行われるその動作に、朝から爽やかさと経験からくる余裕を感じ取る。  ────やっぱりこの人遊んでた。決定!!  千幸はそう結論づけると、いまだに謎の多い隣人を分析するのをやめた。 「いえ。何でもありません。行ってきます。小野寺さんも行ってらっしゃい」 「だから、翔だって。行ってくるね。今日は千幸ちゃんと食事だと思うと頑張れるよ」 「……そうですか」
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