3168人が本棚に入れています
本棚に追加
/703ページ
「行ってきますね」
「うん。行ってらっしゃい」
すぐに嬉しそうに返され、へらりと微笑まれる。
「…………」
すっごく嬉しそうにというか、びっくりするほど緩んだ顔に、千幸はただ無言で無心で固まり彼を見た。
「ん? どうしたの?」
すると首を傾げ、顔を寄せて囁かれる。自然と行われるその動作に、朝から爽やかさと経験からくる余裕を感じ取る。
────やっぱりこの人遊んでた。決定!!
千幸はそう結論づけると、いまだに謎の多い隣人を分析するのをやめた。
「いえ。何でもありません。行ってきます。小野寺さんも行ってらっしゃい」
「だから、翔だって。行ってくるね。今日は千幸ちゃんと食事だと思うと頑張れるよ」
「……そうですか」
最初のコメントを投稿しよう!