プロローグ

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 朝から疲れる。無駄に気疲れする。  気を遣っているつもりもないのだが、毎日いるだろうなと思っての案の定なので、あるのとないのとでは疲れは違う。  社会人二年目にして不相応の高級マンションを後にし、いつものように駅へと向かい、電車に乗り込む。学生や会社勤めの人で埋め尽くされ、この時間は座れた試しがない。  そんな人ごみに揉まれながら、そういえば初めて会った時はスーツだったなと隣人を思い出す。  ────仕事何してるのだろうか? 重役出勤?  芸能人並みの容姿をしているし、夜の道なら大稼ぎしてそうだが、一応昼に働きに出ているらしい。  謎だ。そして重い。  隣の男が謎すぎて、無視したいのにできない現状は千幸の中でずっとスッキリしない状態が続いている。  別に彼が嫌いなわけではないし、もともと深く考えるタイプでもないし思ったことをサクッと言ってしまう方でもあるので、そこまで負担に思っているわけでもストレスが溜まっているわけでもない。
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