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元彼
千幸は職場の建物に到着し、自分の部署が入っている三階のフロアがどことなく騒ついているのに首を傾げつつ席についた。
途端、鞄に入れてある携帯がメールの着信を知らせる。
取り出し確認すると、半時間ほど前まで一緒にいた小野寺からだ。それを手に持ち思わず笑ってしまう。
────いつも、タイミングいいんだよね。
どこかで見てる? って思うほどのそれに、持ってる男はこんな些細なことまで持っているのかなと妙な関心を覚えるほどだ。
画面を確認すると、今晩の食事場所の地図と時間が書かれていた。それに了解ですとだけ返す。
メールはシンプルなのでこちらも返しやすい。
そして、添付された店をクリックすると、洒落たお店で美味しいお酒が出そうだなっと思わず楽しみになってしまう。
こういうところも、上手いというかなんというか。女性というものをそういう点では理解してるのだと思う。
やっぱ、モテる男、持ってる男。
いるところにはいて、それが今は隣に住んでる。
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