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生還したタキトとアイナは手を振って応える。カークはタキトの肩を叩き、ジェシカはアイナをハグする。
「ったく、ヒヤヒヤしたよ」
「アイナちゃんも無茶しすぎよ」
ジェシカが離れると、アイナの祖父と両親も安堵して迎えた。
仲間達から生還の祝福を受けると、タキトの父が来た。差し出された手を握る。
「立派だったぞ」
ジェシカの父は苦笑いして肩を落とし、カークの母は褒め称える。
「自分達が情けないな」
「本当。私達よりずっと大人ね」
「けど、この灰はどうしたんだ?」
マイクは二人にかかっている灰に気を留めた。タキトは勇ましさのある笑みで、お守りを見せた。タキトの父はそれが何か思い当たった。
「これはもしかして・・・」
「そう。母さんの守りだよ。出発前に渡してくれたんだ」
タキトが奇跡の切り札として使ったお守り。この中には、母の故郷にあった神社のご神木の灰が入っていた。そのご神木は母の子供時代に落雷で枯れてしまったが、神主はその木を焼いて作った灰をビニール袋に梱包し、お守りに入れて地元の人に配った。この袋の中の一握りの灰が、恐竜界を救った。
『言った通りだろ。君がここに来たのは天命だったんだ』
竜神からの言葉にタキトは頷いた。
すると、地面がまた大きく揺れた。あちこちに地割れが走り、溶岩が噴出する。大自然の力がこの地を無に帰そうとしている。
タキト達とレジスタンス。そして、戦いに協力してくれた恐竜達は撤収を始めた。負傷者は乗せられるだけ車や乗竜、竜車に乗せ、深手を負った恐竜は種族に関係なく互いを支えて逃げる。
琥珀団の地下要塞は地中へ沈み、不運な生を授かったキメラサウルスも溶岩に消えた。
こうして、恐竜界の危機は去り、次の新しい時代を迎えた。
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