最終話・終わりと始まり

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 同じ頃・・・。いや、元の世界となる二十一世紀の同時刻。マイクを始め、タキトとカークとジェシカの親が研究所のドームに着いた。金属の扉が開くと、タキトの母がいた。 タキトの母は子供達の姿が見えない事に驚いた。出てきた夫に問う。 「あなた、タキトは?」 「大丈夫。生きてるよ。他の皆も」  そう言うと、ジェシカのデジカメを差し出した。タキトの母はそれを起動する。ボタンを操作すると、画面に撮ったものが順番に映し出される。恐竜界の記録だ。  ステゴザウルスの背に乗るタキトとオカリナを持つ見知らぬ少女。洞窟で光る苔を食べるアナトティタン。風車の村。干し草を食べるガストニア。海洋生物の化石が溢れる岩。トリケラトプスの子にご飯を上げるタキト。  次の写真は、正面からフラッシュを浴びたスピノサウルス。これはすごい・・・。その後の、ティラノサウルスとスピノサウルスが闘う写真はコマ送りのように映してある。  写真はまだある。ビッグベンのような時計塔のある街。卵を温めるオヴィラプトル。小さな蒸気機関車。  恐竜に乗る女性の横で寝ているアルバートサウルス。美しい砦の町で、パラモーターで飛ぶタキトと少女。食堂でテーブルを囲む一同。  頭に傷のあるティラノを手当てするタキト。次は、青いティラノが荒野を歩いている。  不思議なのは東京タワーの写真。未完成の姿で、周囲に水田や畑もある。  そして、最後のデーター。これは動画だった。それを再生する。
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