オカリナの少女・アイナ

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「君が見たのはこの人達かい?」  マイクは研究班の集合写真を見せた。 「そうです! この人達です!」  写真を見たアイナは興奮した声を挙げた。自分達の親は間違いなくこの世界にいると確信が持てた。タキトは昂ぶる気持ちを抑えながら問う。 「この人達、オレ達の親なんだ。どこにいるかわかる?」 「琥珀団(こはくだん)に捕まってます」 「琥珀団?」 「私達を襲った、鎧を着た琥珀色の目の男です」 「ああ、あいつか。そうなると琥珀団から助けないと」  タキトと入れ替わるように、カークがアイナに問う。 「何なの、琥珀団って?」 「何百年も前から私達を脅かしている集団です」 「盗賊?」  ジェシカの問いに、アイナは首を振って違うと言った。 「琥珀団は高度な道具を壊したり、発明した人を殺したりするんです。それに・・・」 「それに?」 「あいつらは恐竜を異常に敵視して、奴隷にしたり、見境無く殺したりもするんです。最悪な話ではラプトルを使って村や町を襲うんです」  二十一世紀のメンバーは言葉を失った。恐竜を操っての破壊と殺戮。どうやら琥珀団は並大抵の集団ではない。そうなると、今後も戦いは避けられないだろう。緊張した空気を和らげようと、タキトが会話を再開させた。 「何で、アイナは一人でここにいたの?」 「私は恐竜界の特使をしてるの。本当はお父さんとお母さんがいたんだけど・・・」  アイナは、タキト達と会うまでのいきさつを語った。  彼女は両親と一緒に〈鉄塔の村〉を出発し、大陸各地の集落を訪ねている途中で琥珀団に襲われた。その時に乗せられた竜車(りゅうしゃ=馬車の恐竜版)の檻の中にタキト達の親がいたと語った。  しばらくは大人しく運ばれていたが、一人の男の人が隠し持っていたツールナイフのフックで扉の鍵を外して全員で逃げた。そこまでは良かった。驚異的な身体能力を持つ琥珀団に再び捕まってしまい、自分と同行してくれた男の人は破裂音を出す拳大の武器で抵抗したが、足に矢を受けて倒れた。  アイナは川に飛び込んで逃げ、上陸してからは数日間歩き続け、タキト達に出会った。後は物語に書いたとおりだ。
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