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「危なかったわね」
女性はダチョウ型恐竜から長い金髪を振りながら華麗に降りると、腕を差し出してタキトと親子を引き揚げた。パキケファロサウルスも地面の段差を軽々とジャンプして上がる。
この人が青の騎士団のリーダー・クラウス。フェルとは長い付き合いのようで、「お久しぶりです」と声を駆けた。
「そちらの機関車は成功しましたか?」
「大成功です。ただ、琥珀団に貨車や線路を盗られてしまったんです」
へえ~、とクラウスは陽気な返事をする。
「ずいぶん意外な物を盗っていったのね」
「本当ですよ。石炭を持ってきたので、また造ってもらえませんか?」
「おやすい御用です。ところで、あの人達は?」
クラウスは視線をタキト達に移した。
「琥珀団に街を占領された時に助けてくれたんです」
フェルの紹介もあり、ガリミムスに乗ったクラウスの一団はパキケファロサウルスを連れて砦に招待してくれた。轍のある道を進んでいくと、コンクリート壁の向こうにカラフルな建物が並ぶ街が見てきた。城郭は星型だ。
これが、練金の砦。恐竜界で最高の工業力を持つ国だ。燃料資源に乏しい土地なので、炭鉱を保有する霧の都とは同盟を結んでいる。そのおかげで工業が発展し、水力発電が開発されたので今の生活を築く事が出来た。将来は風力発電や太陽電池の生産も行うとか。
元の世界で判断すると、ここはドイツに違いない。その証拠に、壁で囲った砦の入り口はベルリンのブランデンブルク門そのものだ。
電動で歯車を回す鉄扉をくぐって、こげ茶色の砦に到着したクラウスは大広間にタキト達と救助した人達を通した。ちなみに、さっき助けた男の子はトリトと遊んでいる。
タキト達は自己紹介をすると、『別の国』から来た事、琥珀団にさらわれた親を探しに来た事を伝えた。
次に救助した人達。山一つ向こうの村の住民だが、最近になって『石柱原』に住むアルバートサウルスが村の近くに出没し始めたので避難し、騎士団に助けを求めようと砦に向う途中で襲われ、岩の上にいたところをタキト達が助けてくれた。
まあ、実際に助けてくれたのはクラウス達。助けたい一心はわかっても、あの時のタキトは危なかった。なので、アイナにはこっぴどく叱られた。
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