激闘の鉱山

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 が、目の前が真っ暗になった。琥珀団が身につけていたマントを放ったのだ。視界を奪われたタキトは転び、拳銃も落とした。  何を考えたのか、琥珀団はアイナを地面に叩きつけた。アイナは激痛で呻いた。マントの中で暴れるタキトに近づくと、剣の先を下に向けて、一気に下ろした。  アイナは恐怖で息を呑んだ。  間一髪、マントからバールが現れ、琥珀団の剣を金属音と共に弾いた。さすがの戦士も反動で態勢を崩した。タキトはマントを放ると立ち上がった。琥珀色の目の戦士は目を細めると剣を振って向かってきた。タキトは無闇に動かずに相手の剣を受けて滑らせた。今度は下から上に剣が来たので体を伸ばすように傾けて避けた。 「サルの親戚のくせにやるな!」  琥珀団は容赦ない暴言を浴びせる。だが、気をとられてはいけない。  今度は水平に構えて突進してきたので、避けながらバールの直角の部分で剣を叩き落した。が、相手は戦意を失う事なく、体当たりで飛び掛かり、鎧の重さと体重でタキトを組み伏せた。バールを持つ手も怪力で抑えられた。  ようやく、アイナが起き上がった。すぐにタキトを助けなければ。  だが、矢は効かない。刀剣でも勝てない。どうすれば?  琥珀団はゴツゴツした石を掴んだ。それをタキトの頭へ狙いを定めた。 『ガウゥゥゥンッ!』  銃声だ。弾は琥珀団の肩に当たった。鎧に亀裂が走り、着弾の衝撃で石を落とした。助けてくれたのは、アイナだ。彼女はタキトが落とした回転式拳銃を両手で握っている。さっきまでの好戦さが嘘のように、戦士は逃げた。アイナは溜めていた息を吐くと、拳銃を握る手を下ろした。  立ち上がったタキトは額の冷汗を手の甲で拭うと、半ば呆然と座り込んでいる彼女に近づいた。 「ありがとう。助かったよ」 「必死だったから・・・」
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