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オカリナの少女・アイナ
「助けてくれてありがとうございます」
「いや、助けてもらったのはオレ達だよ。本当にありがとう」
タキトとオカリナの少女は互いに礼を言った。彼らの周りにはステゴザウルスが警護を務めているので落ち着いて話ができる。
「そうだ。名前言ってなかったな。オレの名前は、タキト」
「私は、アイナです」
日本名を名乗った少女にマイクとカークとジェシカも名乗った。歳はタキトと同じ十七だが彼女の方が二ヶ月上との事。漢字では『安比奈』と書くが読みづらいのでカタカナで書く事にする。紹介が終わるとマイクはアイナに問う。
「あのう、アイナさん・・・」
「アイナでいいです。さん付けは苦手なので」
「わかった。じゃあ、改めて訊くけど、ここは地球のどこなの?」
「どこって?」
きょとんとしたアイナに、ジェシカが地平線を指さして話しかけた。
「私達、ずっと向こうの森から来たの。でも、恐竜がいるから混乱してるの」
「どうして? 恐竜は馬や牛と一緒に大昔からいるでしょ?」
大昔からいる、と聞いて更にわからなくなった。今度はタキトが問う。
「ええと、アイナはオレと同じ日本人だよね?」
「そんな名前の国は知らないわ。この世界は超大陸が一つだけよ」
タキト達は新たに驚いた。聞くと、この〈百年前の世界〉は〈自分達の世界〉の四大陸に酷似してはいるものの分裂はしてない。なので、地続きだからどこへでも行ける。恐竜の絶滅どころか、大陸移動も起きてない。謎は深まった。
そこでタキト達は未来から来たのではなく、この世界の、別の国から来たと誤魔化した。それを聞いたアイナはこう言った。
「じゃあ、少し前に会った不思議な道具を使う人達とお知り合いですか?」
その言葉を聞き逃さなかった。
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