激闘の鉱山

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激闘の鉱山

 食事が終わって砦に戻っている途中、正門の警備隊から半鐘が鳴った。クラウスが誰よりも早く走り出したので、タキト達も後を追った。  門には元の色がわからないくらいに汚れた服を纏った男の人が座り込んでいた。片方の足には足かせの痕。警備兵が与えたパンと水を懸命に口に運ぶ。  やっと一息つくと、話してくれた。この人は遠方の小都市の住人で、襲撃してきた琥珀団に全員が拉致され、鉱山で労働を強いられた。しかし、この人の足かせがたまたま壊れたので、一人で何とか鉱山から逃げて、騎士団に助けを求めに来たという。  更に聞くと、そこはかつてのアルバートサウルスの生息地、『石柱ヶ原』という場所。それでアルバートサウルスが近隣の村に出没した理由がクラウス達にもわかった。  琥珀団によって恐竜の生息地が崩されて、周辺の人達に危害が及ぶのは放っておけない。村人の救助と自分達の親の手がかりを得る為に、行動の決定は早かった。  深夜。タキト達とフェル、クラウスを始めとする騎士団は高い崖の上にいた。騎士団の一部は車輪付きの投石器と石を準備している。ジープとトラックに連結して運んできた。傍らで待機する乗竜のガリミムス、空軍のプテラノドン、パキケファロサウルスも戦いに供えてお互いの頭を擦り当てて磨いている。  遠方の平原には、石の柱が林のように立っているのが月明かりでわかる。  あれが『石柱ケ原』。名の通り、あの石の柱は地殻変動で地中から噴出したマグマが冷えて固まった『柱状節理』だ、とクラウスが教えてくれた。大自然の力はすごい。  あの石の柱には多種多様な鉱物資源が豊富に蓄えられているが、アルバートサウルスが生息していたので未開拓地域だったが、今は琥珀団が占領して、我が物顔で資源を採掘している。  考えてみると、アルバートサウルスの化石が見つかるカナダのアルバーター州は、アンモナイトが宝石化した『アンモライト』でも有名な鉱物資源地帯だ。  世界が違えど、アルバートサウルスはこういった場所を好む傾向があるのかもしれない。
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