「友情」

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ロキは考えていた。 檻の中に仕掛けられたのは、猫達の好物。 それにマタタビがかけられていた。 間違いなく狙いは猫だろう。だが何故...。 「私が悪いのよ。子供たちのためにと思って餌にしか目がいかなかったから...」 トトの声で我に返ったロキ。 「そうか...人間の狙いは...」 「ロキ!人間が近付く足音だ!」 キジの叫び声でロキは駆け出した。 「逃げろ雫!」 キジとロキは合図のように飛び掛った。 檻にしがみつく雫を軽々と掴んだ人間を威嚇し、噛み付くも振り払われる。 「何だ...中は成猫か。」 人間は檻を乱暴に掴むと、向かったキジをまた振り払う。 「...離せよ!トトさんとあたしを離せ!」 爪を立てた雫は、人間の顔めがけて暴れた。 だが、雫はトトの入る檻に一緒に入れられると、軽トラックの、荷台に積み込まれた。 エンジンを掛けた人間。 ロキとキジは目を合わせ頷くと、荷台に飛び乗った。 東の空が、明るくなり始めていた。
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